華鬼灯 -ハナホオズキ-

漢詩〝短命咲儚華〟

本頁では『間章[転] 隠サレシ鳥ハ解放セラル (1/1)』にて触れている漢詩と内容の解説をしています。
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漢詩【原文】

 ▼ルビなし

 短命咲儚華
 解放眠籠鳥
 其則終焉鳥
 不在時告終
 焉鳥出自籠
 其籠終役目

  ▼ルビあり

  短命タンメイ ナル 咲儚サクラ ノ ハナ
  解放カイホウ スルハ ネムリシ 籠鳥ロウチョウ
  ソレ スナハチ 終焉シュウエン ノ トリ ナリテ
  不在アラズノ トキガ 告 終オハリヲ ツグ
  エン ナルトリ ハ 出 自 籠カゴ ヨリ イデテ
  其籠ソノ カゴ ヤクメヲ 役目オヘル ナリ

〝命短し桜の華が
 解放するのは籠に眠る鳥。
 その鳥は終焉の鳥であり、
 偽りの時間ときが終わりを告げる。
 終焉の鳥が籠から出たとき、
 籠は役目を終えるのだ──〟

「焉」とは

「正」と「鳥」が組み合わさって成り立ったとされる字。
燕のような鳥を意味する言葉でもあるとされる。

漢詩が暗示する内容

鴉曰く
蒼燕あおつばめ……その鬼は鳥の名を持つ。つばめ、が鳥の種類の名だ。
 〝エン〟と〝エン〟。
 〝こっち〟は〝正〟と〝鳥〟を組み合わせたとされる文字だ。
 つまり〝エン〟という言葉自体が鳥を意味し、ここでは〝エン〟を暗に指す。
 そしてもうひとつ、正しき鳥の〝正鳥セイチョウ〟は、同じ音を持つ青き鳥の〝青鳥セイチョウ〟を指す」

上記の通り、作中では漢詩内に出てくる「焉なる鳥」が「青い燕」を暗示しており、蒼燕のことを指しているのではないかと推測している。
ざっくりまとめると、「焉」という言葉ひとつで「燕」「正鳥」「青鳥」を指し示していると捉えられるのでは、という話。